お菓子作りに欠かせないバターの基本|性質・使い方・温度管理のコツ

お菓子作りに欠かせないバターの基本|性質・使い方・温度管理のコツ

バターって冷やすの?室温?…そんな疑問に答えます。
お菓子作りの基本、バターの性質や使い方を初心者にもわかりやすく解説。
ふんわり・サクサク・しっとり、理想の食感に仕上げるための温度管理のコツもご紹介します。

1. バターとは?基本の知識

バターは、牛乳からできた乳製品。 牛乳を遠心分離し、分離したクリームに振動を与えて乳脂肪を凝集させ、できた塊(バター粒)を練り上げて作ったものです。

  • コクと風味があり、香ばしく焼ける
  • 生地の口どけを良くする
  • ケーキやクッキーの味を引き立てる

そんな理由から、バターはお菓子作りに欠かせない「油脂の王様」とも言われています。

2. バターの3つの性質と使い分け

実は、バターには3つの大切な性質があります。
それぞれ、違う温度帯・作りたいお菓子によって使い分けるのがポイント!

性質 特徴 最も活かされる温度
可塑性 柔らかく形を変えられる 13〜18℃
クリーミング性 空気を含みふんわりさせる 約20℃
ショートニング性 サクサク感を出す・グルテンを抑える 13〜18℃
注意
バターが一度「溶けてしまう」と、これらの性質はうまく働かなくなります!

3. バターの性質別 おすすめスイーツ

それぞれの性質を活かすと、仕上がりがぐっと本格的になります♪

性質 ぴったりなお菓子
可塑性 パイ・デニッシュ
クリーミング性 バターケーキ・バタークリーム
ショートニング性 クッキー・タルト

4. おいしく仕上げるための温度管理のコツ

なぜ「室温に戻す」の?

バターの力を最大限に引き出すには、温度管理がとても大切です。 とくに「クリーミング性(空気を取り込む力)」を活かすには、20℃前後が理想の温度。

  • 他の材料となじみやすくなる
  • 泡立てやすくなり、ふんわり軽い仕上がりに
  • ダマになりにくく、作業もスムーズに

室温に戻す」=柔らかくすることで、バターの性質を活かせるんですね。

POINT
バターが溶けると性質が失われるため、「室温に戻す」程度にとどめましょう。
「冷やしておく」「室温に戻す」など、バターはレシピの指示に従った温度管理が重要です。

効率よく室温に戻す方法

バターのかたまりのままだと、中心まで室温に戻るのに数時間かかることも。 早く・均一に戻したいときは、薄くスライスして広げるのがコツ

スライスしたバター

スライスして広げれば、1時間ほどで全体が室温に。
夏:30分〜1時間/冬:1〜2時間が目安。

POINT
スライスするときは、厚みが均一になるように注意しましょう。
指で確認

指で押してスッと入ればOK。

急いでいるときの裏ワザ:ラップ包みたたき法

ラップに包んで叩く

手順

  1. 薄切りバターをラップで包む
    • バターを薄めにスライスしてラップに包みます
  2. やさしく叩く
    • めん棒や手のひらで軽くトントンと叩きます
    • 力を入れすぎないのがポイント

効果

  • 短時間で均一に柔らかくなる
  • バターの質感を保ちながら時短できる
  • 料理やお菓子作りにすぐ使える状態に
POINT
・薄切りにすることで、より早く柔らかくなります
・たたきすぎると溶けてしまうので、様子を見ながら調整しましょう

NG例:電子レンジの「溶かしすぎ」に注意!

レンジ加熱は便利ですが、「溶けてしまう」とバターの性質が失われてしまいます。
ショートニング性やクリーミング性が活かせなくなるので、ほんのり柔らかくなる程度で止めるのが大切です。

室温に戻すときは、卵や牛乳など他の材料も一緒に

卵や牛乳と一緒に常温に

卵や牛乳など他の材料も一緒に室温に出しておくと、バターとのなじみがよくなります。

まとめ

お疲れさまでした!バターについて詳しく見てきましたが、いかがでしたか?

バターって実は奥が深くて、温度によって全然違う顔を見せてくれるんです。でも難しく考える必要はありません。

バターの3つの特徴を覚えておこう

可塑性クリーミング性ショートニング性...難しそうな名前ですが、要は「形を変えやすい」「ふんわりさせる」「サクサクにする」ということ。この3つを意識するだけで、お菓子の仕上がりがぐっと変わります。

温度管理のコツは「手の感覚」

「室温に戻す」って言葉、レシピでよく見かけますよね。指で押してスッと入る状態が目安です。薄くスライスしておけば時短になるし、急いでいるときは「ラップ包みたたき法」も使えます。

電子レンジは便利だけど、溶かしすぎると元には戻らないので要注意。ほんのり柔らかくなる程度で止めましょう。

失敗を恐れずにチャレンジしよう

バターと仲良くなると、お菓子作りがもっと楽しくなります。最初はうまくいかなくても大丈夫。「今日は昨日より上手にできた」そんな小さな成長を大切にして、家族に「美味しい!」と言ってもらえる瞬間を楽しみにお菓子作りを続けてくださいね♪

この記事を書いた人

橋本慶子(はしもとけいこ)

東京製菓専門学校卒業後、代官山シェリュイ、アフタヌーンティー・ティールームなどで約10年ケーキ製造・販売業務に携わる。
2008年ABCクッキングスタジオ入社、2011年から商品部にてケーキ開発を担う。
5年間で約400メニューを開発する。
現在はフリーで活動中。