プロが教える!二次発酵の見極め3つのポイント

プロが教える!二次発酵の見極め3つのポイント

見極める方法は【①温度と時間 ②ひとまわりくらい大きくなっているか ③生地を押す】です!

パン作りの中で「二次発酵」の見極めが難しいという声を耳にします。生地が発酵しすぎるとせっかく作ったパンの見た目や食感が悪くなってしまいます。 今回はベストな状態を見逃さないために二次発酵の見極め方についてご紹介します。

二次発酵は何のため?


二次発酵パンガス抜きや成形をすると生地がしまり、そのままオーブンで焼いてもうまく膨らみません。成形後に二次発酵させると再び炭酸ガスが発生し、焼成した時に生地が膨らみます。


焼成時に膨らみがピークに達するよう、ギリギリの少し手前まで生地を膨らませます。余裕を残しておくことで、オーブンで焼き上げたときに生地がのびのびと膨らみ、ふんわり仕上がります。

二次発酵の方法


発酵器の場合

発酵器

あらかじめ温めておいた発酵器の中に入れます。家庭用の発酵器も多く出回っています。

オーブンの場合

オーブン

オーブンを使用する場合は二次発酵後の焼成用に予熱を入れておく必要があるので、途中で取り出すのを忘れないようにしましょう。

最初はオーブンの発酵機能を使用して発酵させ、残り10分位のところで、取り出します。

残りを室温で発酵させます。オーブンの予熱が上がって、発酵状態がちょうどよいところで、焼成しましょう。

温度が低く室温ではなかなか二次発酵が進まないときは、オーブン上のスペースを上手に活用する方法もあります。

注意点は

直接オーブンにのせないこと。網などをのせ、その上に置きましょう。予熱が上がり、オーブン本体も熱くなるため、直接のせてしまうと天板や生地が熱くなってしまいます。
・乾燥しやすいので、ぬれ布巾をかぶせ、霧吹きをしたりしながら湿度を保ちましょう。
・下に置く台(網など)は安定するものを使用し、天板が落ちないようにしましょう。また、やけどをしないように気をつけて作業してください。

上記の点に気をつければ、寒い時期(冬)に発酵器がなくても上手に二次発酵させることができ、おいしいパンを焼くことができます。

オーブンが使用できない場合

二次発酵

布地(またはラップ)とぬれ布巾を生地にかけ、なるべく室温が高めの場所に置いて発酵させましょう。この時の注意点は、直射日光はNG
室温が高め(40℃近く)の場合は発酵時間は短くなり、室温が低いと発酵時間は長くかかります。時間だけで判断せず、生地の大きさでも見極めましょう。

気温の高い時期(夏)は、室温でも二次発酵が進みやすいので、乾燥には注意し、ちょうどよい発酵状態を見極め、予熱が上がったところで焼成するとよいでしょう。


空気が乾燥していると膨らみづらくなるため、霧吹きをしたり、湿度を保つ工夫も必要になります。

二次発酵の見極めのポイント


二次発酵完了の目安は
・温度と時間
・生地の大きさがひとまわり膨らんでいること
・生地を押して戻り具合を確認

型物の場合

型物パンの二次発酵

食パンのように型に入れて焼成するパン場合は、山形食パンや角食パンなど生地量と型の大きさなどにもよりますが、一般的には型の8~9割くらい膨らんだ状態が二次発酵完了の目安です。

型物以外の場合

ロールパン二次発酵

パンの種類(バターロール・クロワッサン・フォカッチャなど)によっても発酵の膨らみ具合が異なります。指でパン生地の側面などの目立たないところを軽く押し、 生地が押し戻って、指の跡が少し残る程度を発酵完了の目安にしましょう。

生地を押して確認


発酵不足の場合

指で押した跡が完全に戻ってくる状態。


5分ずつプラスして様子を見て発酵状態を見極めましょう。過発酵になってしまうと戻すことはできません。早めに確認し、少しずつベストな発酵状態を見極めることが大切です。

過発酵の場合

バターロール過発酵

跡がしっかり残る状態や押してすぐにしぼんでしまう状態。


衝撃で萎んだ食パン食パンなど生地の膨張率が大きい生地は、天板を置く少しの衝撃でもつぶれてしまいます。扱い方に注意しながらなるべく早く焼成しましょう。

発酵しすぎるとどうなる?


食パン

▼ Before

生地の大きさがひとまわり膨らんだら二次発酵完了です。右の生地は膨らみすぎて型からはみ出しています。

▼ After

過発酵の食パンはベストなものと比べると、ふっくら感が足りない焼き上がりになります。 また、表面も荒れてぼそぼそした食感のパンになってしまいます。

焼成後割って比較

過発酵した生地は焼いた時に釜伸びしていないため、高さがでていません。

今回の実験では割ったときの見た目には大きな差は出ませんでした。うっかり2時間以上放置してしまうと、もっと大きな気泡になってしまうことも。

ロールパン

食パン同様、過発酵のパンはベストなものと比べると、ふっくら感が足りない焼き上がりになります。

割ってみると過発酵のパンはキメが粗く、やや空洞が多い仕上がりになっています。

食べ比べ


食べて比較してみると、過発酵したパンは独特の酸味やアルコール臭さがありました。ただ過発酵してしまったパンもトーストしてアルコール臭さを飛ばし、上にジャムやチーズをのせてしまえば食べることはできます。
でも、せっかくパンを作るなら、おいしく食べたいですよね。そのためにも、発酵の見極めができるようになりましょう!

まとめ

過発酵になると焼いても膨らみが悪く、キメも粗く硬い焼き上がりになってしまいます。また焼き色が薄くなる原因になったり、アルコール臭などで風味も悪くなります。

過発酵になる前にこまめに確認し、ベストな発酵状態を逃さないようにしましょう。

二次発酵の見極める方法は ①温度と時間 ②ひとまわりくらい大きくなっているか ③生地を押す 

他にも二次発酵では温度だけでなく、湿度も重要です。霧吹きなどを使用して湿度を保つ工夫も忘れずに!

パン生地の発酵の見極めをマスターして、パン作りのレベルをアップさせましょう。

この記事を書いたのは

房前敦子

香川栄養専門学校製菓科卒業後、アフタヌーンティー・ティールームに入社し約8年間、パン・ケーキ製造・販売業務などに携わる。その後、調理師免許を取得し、アフタヌーンティースクールのオープニングスタッフなどを経て、2008年から約12年間ABCクッキングスタジオの料理・ブレッド講師として就業する。
現在はABC Cooking MARKET手作りキットなどの新規メニュー開発をはじめ、専門学校や高校での講師、他メディアでのフードコーディネーターとしてフリーで活動中。

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