パン作りにおいて生地をこねる意味は、単に材料を混ぜたり均一にするということだけではありません。こねることによって、「グルテン」 というねばりのある網目状の組織を形成することが最大の目的です。
今回はパン作りの基本「生地のこね方」についてご紹介します。
グルテンとは
小麦粉特有のたんぱく質であるグルテニンとグリアジンに水を加え、物理的な力(こねる、たたく、のばす)を加えることによって形成される物質です。
ふっくらしたパンを作る時に欠かせないもので、独特な歯ごたえ(もっちり感)を生み出す素とも言えます。グルテンにはベタベタした粘りがあり、ほかの食材をひとまとめにします。
また、弾力があるので形を自由に変えて保つことができます。この性質のおかげで、パンのほかにも、うどんやケーキ、パスタ、クッキーなど、さまざまな食品を作ることができます。
こね方の基本は4パターン
まずは作業前に食べ物を長時間素手でこねるので、手や台を忘れずに消毒しましょう!
ボウルの中で粉気がなくなるまで混ぜる。
粉が飛び散らないように、木ベラを外側から内側に大きく動かすように混ぜ、水分を全体にいきわたらせるように意識しましょう。
①こすりつける
こね始めは、生地を台にこすりつけるようにして材料をなじませ、グルテンを作っていきます。
はじめは手の付け根を使って生地をこすりつけるようにしてのばすようにこねましょう。体重をかけ、力強くこねることでグルテンが形成され、生地を作ることができます。
なめらかになるまでこねる。
【ベタつく生地の場合】
水分や卵・砂糖・バターなどの副材料が多いべたつく生地はたたきつけるようにこねましょう。
②伸ばす
ある程度生地に弾力が出てきたら、ちぎらないようにのばして集める作業を繰り返します。
③V字にこねる
さらに弾力が出てきたら、両手で生地を包むようにして、Vの字を描くように台にこすりつけるようにこねる。
弾力が出てきた生地や、硬めの生地は、リズミカルに転がすように圧力をかけます。
④たたく
台にパン生地を打ちつける。
柔らかい生地を引き締めるためにたたきつけます。
パン生地のこね方にはさまざまな方法がありますが、家庭での作りやすさを考慮し、この4パターンを基本とします。基本手法を上手に組み合わせてこねましょう。
具材を混ぜ込む場合
生地がこね上がったところで、生地を大きめに広げて具材をのせる。
手前から巻いて、縦に置き直す。
下から巻く。
生地をのばし、均一に具材を混ぜ込む。
パン生地をこねる時の注意点
☑︎ベタベタしてまとまらない時も根気よく!
打ち粉はおすすめしていません。こね不足の原因になるからです。正しく計量ができていれば、こねているうちに必ずまとまってきます。根気よくこねましょう。
☑︎たたきすぎには注意する!
たたくという作業は、グルテンの強化というメリットがありますが、同時に生地を乾燥させるというリスクにもつながります。
生地が乾燥すると、発酵に影響したり成形しづらくなったりします。
基本の流れをベースにしっかりこねる作業をしましょう。
こねの見極め
悩む方が多い「こねあがりの見極め」は、次の3点を確認します。
- 生地の表面がつるりとなめらかになってくる。
- 生地を押さえた時に適度な弾力がある。
- 縦横に少しずつ薄くのばしていくと、指が透けるくらいの膜が張る。
グルテンチェックを動画で確認
生地をゆっくり広げても生地が切れずに薄く広がり、指が見える位に透けて見えたらOK!
まとめ
いかがでしたか?パン作りの最初の工程である「生地をこねる」ことは焼き上がりの膨らみ ・食感また劣化にも影響します。
美味しいパンを焼き上げるためには、しっかりこねることが大切です!
生地の配合によってもこね具合やこね上がりの見極めが異なるので、今回ご紹介しました基本のこね方を参考にしながら、パン作りを楽しんでくださいね。
この記事を書いたのは
房前敦子
香川専門学校製菓科卒業後、アフタヌーンティー・ティールームに入社し約8年間、パン・ケーキ製造・販売業務などに携わる。その後、調理師免許を取得し、アフタヌーンティースクールのオープニングスタッフなどを経て、2008年から約12年間ABCクッキングスタジオの料理・ブレッド講師として就業する。
現在はABC Cooking MARKET手作りキットなどの新規メニュー開発をはじめ、専門学校や高校での講師、他メディアでのフードコーディネーターとしてフリーで活動中。
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