ホールケーキの土台「スポンジケーキ」の基本の作り方を学びましょう。卵黄と卵白を同時に泡立てて作る製法「共立て法」でスポンジを作ります。失敗しないために基本の作り方を覚えて、お菓子作りの幅を広げていきましょう!
スポンジ生地とは
主に卵・砂糖・薄力粉を使用し、3 つの材料の持ち味を活かして作られるケーキ生地で、見た目がスポンジ(海綿)に似て良く膨らむことから日本名が付きました。スポンジとは日本だけの呼び方です。
スポンジケーキ状のものは15世紀頃、ヨーロッパで誕生しましたが、その後改良を加え、19世紀中頃に「ジェノワーズ」と呼ばれるものになりました。
それまでのお菓子は、卵・砂糖・小麦粉を混ぜて焼いた「ビスケット類」でしたが、卵を泡立てたことにより軽い生地が作れるようになり、改良を加え、現在のスポンジ生地へと変化しました。
スポンジ生地の製法
共立て法で作るスポンジ生地を「ジェノワーズ」、別立て法で作るスポンジ生地を「ビスキュイ」と呼び分けます。 どちらも攪拌された気泡を利用して作るので、きめこまかく、もったりと泡立てることがポイントとなります。
共立て法
卵黄と卵白を同時に泡立てて作る製法です。この製法で作る生地をジェノワーズ生地(パート・ア・ジェノワーズ pâte à génoise)と呼びます。焼く前はクリーム状のなめらかな生地で、主に型に流し入れて焼き上げます。キメの整った気泡が作られ、しっとりとした仕上がりが特徴です。
別立て法
卵黄と卵白を別々に泡立てて作る製法です。この製法で作る生地をビスキュイ生地(パート・ア・ビスキュイ pâte à biscuit )と呼びます。焼く前は固くしっかりとした生地で天板などに絞り出して焼き上げることが多いです。外側はサクッとして、中はふんわり軽く、口の中で溶けるような仕上がりが特徴です。
パート・ア・ジェノワーズを作る
下準備
牛乳とバターを湯せんする
牛乳・バターは合わせて耐熱容器に入れ、湯せんにかけて溶かす。
卵を泡立てる
卵を泡立てる
卵に砂糖を加えたら、すぐに混ぜる。
砂糖は水分を吸うとダマになってしまうので、卵に加えたら、すぐに混ぜましょう。
冷たい卵は湯せんにあてる
卵液が35〜40℃になるように、70~80℃の湯せんにあてて温める。
冷蔵庫から出したての冷たい卵は、泡立ちがよくありません。
湯が熱すぎると卵に火が入ってしまったり、キメの粗い生地になってしまうので注意が必要です。
白くもったりするまで泡立てる
35~40℃になったら、湯せんからはずして高速で一気に泡立て、白くもったりする(リュバン状)まで泡立てる。
羽の中に生地がたまり、落ちた生地がこんもりと形が残る位の硬さです。泡立て不足の生地は膨らみに影響するので注意しましょう。 また、仕上げに低速で1分間ゆっくり混ぜるとキメが整います。
粉を混ぜる
粉は高めの位置からふるう
薄力粉を高めの位置からふるい入れる。
高めの位置からふるい入れることで、薄力粉が空気を含み、ふっくらと仕上がります。
手早く切り混ぜる
粉をふるい入れ、切り混ぜる。
練るように混ぜると、卵の気泡がつぶれてしまうだけでなく、小麦粉のグルテンが強化されて、さっくりとした食感が損なわれてしまいます。 ボウルを回しながら、ひらがなの「の」やアルファベットの「J」を 描くように、ゴムベラで切り混ぜましょう。
牛乳・溶かしバターを加える
粉っぽさが残る程度で、牛乳や溶かしバターを加えて切り混ぜる。
溶かしバターは50〜60°Cの温かいもののほうがなじみやすいです。牛乳や溶かしバターはやや粉っぽさが残る程度で加えます。ゴムベラで受けて、全体に回し入れると気泡の損傷が少なくなります。
生地にツヤが出てなめらかになるまで、さらに切り混ぜます。
型に入れる
型の準備
ボウルの端の生地を型につけ、紙が浮かないようにする。
生地を流し入れる
型に流し入れる。
気泡の損傷を防ぐため、生地を流し入れる時は低い位置から一気に入れましょう。ボウルの周囲に残った生地は、気がつぶれていて火通りが悪いので、型の端のほうに入れると良いでしょう。
焼成
空気抜きをし、予熱を入れたオーブンへ
ぬれ布巾などの上に型を数回、トントンと軽く落として大きく余分な空気を除く。
予熱を入れたオーブンで焼く。
必ず予熱を入れたオーブンで焼きましょう。予熱が入っていないと、生焼けやバサバサとした食感の原因になってしまいます。また、型に生地を入れたら気泡が損傷しないうちになるべく早くオーブンに入れましょう。
焼き上がりをきちんと確認する
焼き上がりの確認方法
焼き上がりは、竹串に生地がついてこないか、 表面を触って弾力があるか、焼き色はしっかりついているかなどで確認します。
焼き上がったらすぐに型から出しましょう。 型に入れたままだと余熱で生地が硬くなったり、縮むことがあります。
【紙は冷めてからはずす】
温かいうちにはずすと、生地が紙について、はがれてしまいます。
この記事を書いたのは
橋本慶子
東京製菓専門学校卒業後、代官山シェリュイ、アフタヌーンティー・ティールームなどで約10年ケーキ製造・販売業務に携わる。
2008年ABCクッキングスタジオ入社、2011年から商品部にてケーキ開発を担う。
5年間で約400メニューを開発する。
現在はフリーで活動中。
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