定番のお菓子のシュークリーム。みなさんは作ったことがありますか?シュー生地が「膨らまない」「中が生焼けだった」など失敗してしまった方もいらっしゃるのでは…。
今回はシュー生地作りのポイントをご紹介します。失敗の原因を見つけて、シュー生地作りを成功させましょう!
使用する道具
ボウル、ゴムベラ、泡立て器、しぼり袋、口金、クッキングシート、霧吹き、鍋
シュー生地作りに使用する鍋は、テフロン加工されていない(できれば)厚手の鍋を使用しましょう。
テフロン加工されていると鍋底に生地がつきにくく、「膜が張る」状態を見極めるのが難くなります。そのため、雪平鍋やステンレスの鍋を使用することをおすすめします。
材料(6cm 6個分)
材料 | 分量 |
---|---|
卵 | 2個(100g〜120g) |
牛乳 | 50ml |
水 | 50ml |
バター(食塩不使用) | 40g |
グラニュー糖 | 小さじ1 |
塩 | ひとつまみ |
薄力粉 | 60g |
シュー生地の基本の材料です。
下準備
- バターは1cm角に切る。
- 薄力粉はふるっておく。
- 牛乳(または水)は室温に戻しておく。
作業工程の半分は下準備です。シュー生地は状態の見極めが重要!作りはじめたらテンポよく手を動かすのがポイントです。
- 天板にクッキングシートを敷いておく。
作り慣れていないうちは、しぼり出す位置がだんだんずれてきてしまいます。
クッキングシートに印をつけるか、折り線をつけておくとよいでしょう。
- 卵(Mサイズ)は室温に戻し、白身が均一になるまでよく溶きほぐしておく。
しぼり袋に直径1cm前後の丸口金をつけておく。
口金は星口金でもよいでしょう。
しぼり袋がない場合は使用しなくてもOK。使うとよりきれいにしぼれますよ。
- 霧吹きに水を入れておく。(ない場合は使用しなくてもOK)
作り方
鍋に牛乳(または水)・塩・グラニュー糖・バターを入れ、中火で加熱する。
バターが溶ける前に液体が沸騰してしまうのを防ぎたいため、はじめは中火にしましょう。
バターが溶けたら強火にし、鍋の中心からグラグラと沸騰するまで加熱する。
ここでの沸騰がとても大切です!
シュー生地が膨らむ要因の1つは小麦粉の「糊化」によるものです。
糊化には80℃位の温度が必要になります。 薄力粉を入れて温度が下がることを計算して、しっかり沸騰させておきましょう。
また、加熱しすぎや鍋の口径が大きすぎると、蒸発する水分量が変わるので注意しましょう。
火を止め、ふるっておいた薄力粉を一度に加え、しっかりと混ぜる。
ゴムベラは短めに持ち、上から押さえつけるようにし粉気がなくなるまで混ぜる。
薄力粉に水分を均一に吸わせるために手早く混ぜます。
表面がなめらかでひとかたまりになるまで混ぜましょう。
再度加熱します。
水分をとばし、生地の温度を上げることで、この後に加える卵が入りやすくなります。
弱〜中火で加熱し、鍋の中で生地をコロコロ転がしながら加熱します(1分〜2分)。
見極めは生地の表面につやが出てきて、鍋底に白い膜が張るまでです。
膜を確認したいので、混ぜるときは鍋底をゴシゴシこすらないように気をつけましょう。
ボウルに移し、卵を6〜8回に分け加える。
卵は必ず室温に戻したものを使用してください。卵が冷たいと生地が冷えて、正しい見極めができなくなります。
手早く混ぜたいので、慣れていない場合はハンドミキサーを使用するとよいでしょう。
卵を加える回数が増えるほど慎重に加え、その都度卵が完全に見えなくなるまで混ぜましょう。
初めのうちはそぼろ状になりますが、一定量を超えるときれいにつながります。
卵の8割位を加えたところで、ゴムベラを持ち上げ、生地のかたさを確認します。
卵が少ない | 卵が多い |
卵が少ないとつやがなくぼてっとしています。もう少し卵を足しましょう。 | 卵を加えすぎると、さらさらと流れ落ちます。この状態からはもとには戻せません。 |
【ベストな状態の見極め】
☑︎生地につやがあり温かい
☑︎ゴムベラから落とした生地が逆三角形になる
☑︎落とした生地の横がつれていない
卵を加えるのに時間がかかると生地の温度が下がり、かたくなります。
かたさが決まったら用意しておいたしぼり袋に入れます。
しぼり袋は折り返してカップなどにかぶせておくと、生地がつめやすいです。
残った卵は「塗り卵」として使用するので、捨てずに取っておきましょう。
生地をしぼり出す
ケーキ作りではよく「丸くしぼり出す」という工程があります。
しぼり方は全て共通で、天板から口金を2cm位浮かせ、動かさずにしぼり出します。
大きさが決まったら、しぼる力をゆるめ、ツノができないように口金をクルっと回して外します。
口金をぐるぐると動かすのはNGです。
生地が余った場合は、口金の先端をしぼった生地に差し込み注入します。
余った卵液をフォークにつけ、先端を軽くおさえる。
いびつに膨らむのを防ぎます。
また、焼き色をつけることもできます。
霧吹きで全体に水を吹きかける。
シュー生地は表面に水分があることでのびが良くなるので、全体に軽く霧を吹きかけましょう。
焼成
予熱を入れたオーブンで焼く(190℃20分)。
生地中に含まれる水分が蒸発しようとする力で生地を押しあげて膨らむので、初めは高温で焼きます。
蒸気が逃げてしまうので、途中でオーブンの扉を開けるのはNG!
生地がしっかり膨らみ、亀裂に焼き色がついてきたら、10〜20℃温度を下げて残り時間を焼きましょう(180℃10分)。
・中まで乾燥していない生地は、オーブンから出した後にしぼんでしまうことがあります。
・焼きムラがあり、天板の前後を入れ替える場合は焼き時間の8割が経過してからにしましょう。
かたさ別の生地で比較
生地のしぼり出し
▲左 かたい/中 適度なかたさ/右 やわらかい
かたさの異なる生地をしぼり出し、焼き上がりを比較してみます。
焼成
▲左 かたい/中 適度なかたさ/右 やわらかい
かたい生地は餅が膨らむ様に、むりやり膨らみ、いびつな形になりました。
やわらかい生地は、水分が多い為、上に膨らむ前に横にだれてしまいました。
中央の適度なかたさの生地は、上にも横にも適度に膨らみました。
おまけ
同じかたさの生地をABCオリジナルのシルパンとクッキングシートを敷いて、焼き比べてみました。
シルパンを使った方は生地が滑りにくく、横に流れないので、縦方向にきれいに膨らんでいます。
裏面はメッシュの模様になります。
対してクッキングシートは生地が横に流れてしまうため、横方向に広がって膨らんでいます。
シルパンを使うと余分な水分が抜け、サクサクのシュー生地を作ることもできます。
まとめ
今回ご紹介したポイントに注意しながら、シュー生地作りをしてみてくださいね。
状態が変わりやすいので、シュー生地作りはテンポ良く行いましょう!
中のクリームの味を変えたり、皮の外側にチョコをつけたりしてアレンジも楽しめます。
ぜひ基本の作り方をマスターしてくださいね。
この記事を書いたのは
橋本慶子
東京製菓専門学校卒業後、代官山シェリュイ、アフタヌーンティー・ティールームなどで約10年ケーキ製造・販売業務に携わる。
2008年ABCクッキングスタジオ入社、2011年から商品部にてケーキ開発を担う。
5年間で約400メニューを開発する。
現在はフリーで活動中。
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