パウンドケーキの具材、いつも沈んでしまう…?
しっとりと焼き上げたパウンドケーキをカットしたら、ナッツやドライフルーツが全部下に沈んでいた…。そんな経験、ありませんか?
「せっかく時間をかけて作ったのに失敗しちゃった…」とがっかりする初心者さんも多いはず。でもご安心ください!具材が沈むのには、ちゃんとした理由があるんです。この記事では、パウンドケーキの具材が沈む原因と、沈ませないためのコツをわかりやすく解説します。
具材が沈む5つの主な理由
1. 生地がゆるすぎる
生地にコシや粘りが足りないと、具材を支える力が弱くなり、沈みやすくなります。特に卵を多く入れすぎたり、混ぜすぎてグルテンが強く出すぎると、生地が緩くなりがちです。
チェックポイント: パウンドケーキのようなバターケーキ生地の場合、生地をすくったときにゆっくり落ちる程度のかたさが目安です。もし生地がさらっと流れてしまうようであれば、薄力粉を少し加えて様子を見ましょう。
2. 具材が重すぎる or 大きすぎる
栗の甘露煮や大粒のチョコチップなど、重さのある具材は沈みやすくなります。また、具材が大きいと生地の中でバランスがとれず、下に落ちてしまいます。
3. 粉をまぶしていない
意外と見落としがちなのが「具材に粉をまぶす」工程。薄力粉などをうすくまぶしておくと、生地となじみやすくなり、沈みにくくなります。
やり方
ボウルやポリ袋で具材に薄力粉を使用分から小さじ1程度振りかけ、まんべんなくコーティングします。余分な粉は軽くはたき落としましょう。
4. オーブンに入れるまでに時間がかかりすぎている
ベーキングパウダーを使った生地は、時間が経つほどふくらむ力が弱くなってしまいます。そのため、生地を作ってから時間をおいて焼くと、十分に膨らまず、具材が沈みやすくなる原因に。
生地ができあがったら、できるだけ早くオーブンに入れることを意識しましょう。
5. 混ぜ方のバランスが悪い
具材を最後にさっくり混ぜるのがポイント。混ぜすぎると生地が緩くなり、逆に混ぜ足りないと具材が均等に分散せずに沈んでしまいます。
おすすめ
ゴムベラを使って、具材を生地にやさしく“切るように”混ぜ込むのがコツです。
パウンドケーキのフィリングが沈む原因は「比重の違い」
実は、パウンドケーキの具材が沈む根本的な理由は、「生地と具材の比重が合っていない」ことにあります。
一般的なパウンドケーキ生地(シュガーバッター法)で作る場合は、生地そのものにある程度の重さがあるため、具材が沈みにくい傾向があります。しかし、配合を変えたり、スポンジケーキのような軽いジェノワーズ法で作る場合は、具材が沈みやすくなるため注意が必要です。
よく使われるフィリングと注意点
以下のような具材を使うときは、加え方にひと工夫して沈みにくくしましょう。
ドライフルーツ(レーズン・クランベリーなど)
- 5mm程度に細かく刻む
- 加える直前に、分量の粉を少量まぶす
→ 表面に薄い膜をつくることで沈みにくくなります
表面が乾いたままだと粉がつかないので、オイルコーティングされている場合は湯通しましょう。その他のものは、お好みのリキュール(小さじ1〜)を絡めてから粉をまぶすと、リミュールの風味もつき、粉も付きやすくなります。
チョコレート・チョコチップ
- 細かく刻む
- 卵白を泡立てたシフォンのような生地に混ぜる場合は注意
→ チョコの油分が卵白をつぶし、周囲に空洞ができやすくなるため、ふわふわの生地には不向き
さつまいも・かぼちゃ
- 加熱し、小さく刻んでから加える
- または、ペースト状にして生地に練り込むと、沈む心配が少なくなります
その他の具材
紅茶・ジャム・バナナなどもしっかり混ぜ方や生地との相性を見極めて加えましょう。特に水分が多いものは、生地のバランスを崩す原因にもなります。
沈まないためのちょっとした工夫
生地のかたさを見極める
「もったり」とリボン状に落ちるかたさを目安に。ゆるすぎたら、粉を少しだけ足すのも一つの手です。
具材に粉をまぶす+一部はトッピングに
すべての具材を混ぜ込まず、一部を上にトッピングすることで、沈みにくくなるだけでなく、焼き上がりも華やかになります。
特に沈みやすい具材リスト
- ドライフルーツ(レーズン、クランベリーなど)
- 栗の甘露煮
- 大粒チョコチップ
- ナッツ(アーモンド、くるみ など)
- 甘納豆
これらの具材は、粉をまぶしたり小さくカットするなど、ひと手間加えるのが成功のポイントです。
まとめ
具材が沈んでしまうのは、ちょっとしたひと工夫で防ぐことができます。断面にきれいに具材が並んだパウンドケーキは、それだけで特別感のある仕上がりに。次に焼くときは、ぜひこれらのコツを取り入れて、“沈まないパウンドケーキ”を楽しんでくださいね。
この記事を書いたのは
橋本慶子
東京製菓専門学校卒業後、代官山シェリュイ、アフタヌーンティー・ティールームなどで約10年ケーキ製造・販売に携わる。2008年ABCクッキングスタジオ入社、2011年から商品部にてケーキ開発を担当。5年間で約400メニューを開発。現在はフリーで活動中。
ドライフルーツパウンドケーキ
チョコチップパウンドケーキ
さつまいもパウンドケーキ