「うまく絞れない…」その悩み、解決できます!
絞りだしクッキーは、サクサクの食感と可愛らしい見た目で人気のお菓子です。でも、お菓子作り初心者の方からは「うまく絞れない」「形が崩れてしまう」というお悩みをよく伺います。
実は、失敗の原因は絞り方だけではありません。生地の状態や絞り袋・口金の選び方、使い方が合っていないことで、うまくいかないケースがほとんどなのです。
この記事では、料理教室で数百名の生徒さんを指導してきた経験から、生地・道具・絞り方の3つのポイントに分けて、お菓子作り初心者の方でもきれいに仕上げるためのコツを詳しく解説します。
絞りだしクッキーってどんなクッキー?

絞りだしクッキーは、生地を絞り袋に入れ、口金を使って形を作るクッキーです。
型抜きクッキーのように生地をのばしたり、型で抜いたりする必要がなく、絞るだけで美しい模様が作れるのが最大の魅力。ヨーロッパでは「パイプドクッキー」とも呼ばれ、ティータイムの定番スイーツとして親しまれています。
一見難しそうに見えますが、ポイントさえ押さえれば、お菓子作り初心者の方でも失敗なく作れますよ。
成功の8割は生地で決まる|絞れるかどうかはここで決まる
絞りだしクッキーの生地で大切なのは「なめらかさ」
お菓子作り初心者の方が見落としがちなのが、生地の質感です。
絞りだしクッキーの生地で最も大切なのは、「やわらかさ」よりもなめらかさ。ダマが残っていたり、粉っぽさがあると、口金を通るときに引っかかり、きれいに絞れません。
材料が均一に混ざり、スムーズに絞り出せる状態を目指しましょう。
型抜きクッキーとは生地の硬さが違う
「クッキー生地はどれも同じでしょ?」と思われるかもしれませんが、実は違います。
絞りだしクッキーは、型抜きクッキーに比べてバターや卵を多めに含む配合が一般的で、やややわらかめの生地になります。
「手で丸められる硬さ」ではなく、絞り袋から無理なく出てくるかどうかを目安にするのがポイントです。
初心者の方でも絞りやすい生地配合のコツ
絞りだしクッキーは、バターと卵が多く、粉が少ない配合なので、手で成形するクッキーより柔らかい生地になります。
これは「失敗」ではなく、絞るために必要な柔らかさです。
「この状態ならOK」の見極めポイント
- 冷凍庫から出して少し溶けたアイスクリームくらいの硬さ
- 絞り袋から無理なく押し出せる状態
- 生地にツヤがあり、なめらかな状態
- ダマや粉っぽさが一切ない
初心者さんのよくある失敗例

「粉をふるわずに入れてしまった」というケースが多く見られます。粉をふるわないとダマが残り、星口金や波平口金の切り込み部分に詰まる原因に。お菓子作り初心者の方は特に、この一手間を大切にしてください。

また、「バターが冷たいまま混ぜてしまった」というケースも。バターは25℃前後が理想的な状態です。薄く切って室温に1時間以上出しておくか、耐熱容器に入れて電子レンジ500Wで10秒ずつ加熱して柔らかくしましょう。この温度のバターを使うことで、なめらかな生地が作りやすくなります。

お菓子作りに欠かせないバターの基本|性質・使い方・温度管理のコツ
バターの温度管理で、絞りだしクッキーの生地がなめらかに。
記事を読むグラニュー糖ではなく粉糖を使うのがポイント
絞り出しクッキーには粉糖を使うのが基本です。粉糖は粒子が細かいため、バターと混ぜたときにすぐに溶けて均一に馴染み、滑らかで絞りやすい生地になります。グラニュー糖を使うと生地が硬くなり、絞り出せなくなることがあります。
道具選びで仕上がりが変わる|絞り袋と口金の基本
絞り袋のサイズ選びが重要
絞り袋は使い捨てタイプを使用します。
▪️サイズ選びのポイント
- 絞り袋にはさまざまなサイズがあり、クッキー生地のような硬めの生地には大きめで、厚みのあるものがおすすめです。
- 小さいサイズ(12インチ/約30cm以下):生地を何度も継ぎ足す必要があり、作業効率が悪い
- 適正サイズ(18インチ/約46cm前後):クッキー生地をまとめて入れられ、スムーズに作業できる
小さいサイズの絞り袋は、クッキー生地には不向きです。すぐに生地がなくなってしまい、何度も詰め替える手間がかかります。
ABC cooking Studioのレッスンでも、18インチサイズを使用しています。1回で絞り切れる量を入れられるので、作業がスムーズですよ。

<ABCレッスン使用>HYGO STAR 絞り袋 100枚ロールタイプ
硬めの生地でも扱いやすい、18インチサイズ推奨。
商品を見る仕上がりを左右する「口金」の選び方
絞りだしクッキーには、星口金を使うのが一般的です。
星口金は溝があるため、焼いたあとも模様が残りやすく、お菓子作り初心者の方でもきれいな形を作りやすいのが特徴。また、星口金は生地の状態が分かりやすいというメリットもあります。
- 絞れない → 生地が硬い
- 模様がつぶれる → 生地がやわらかい
このように、生地の調整の目安にもなるんです。
▪️サイズの選び方
星口金にはさまざまなサイズがありますが、初心者の方には星10-8(10号サイズ、切り込み8個)がおすすめ。大きすぎず小さすぎず、クッキー生地にちょうど良いサイズです。
※星口金は「サイズ-切り込みの数」で表記されます。例えば「星10-8」なら、10号サイズで切り込みが8個という意味です。

口金
絞りだしクッキーには星10-8(10号サイズ、切り込み8個)がおすすめ。
商品を見る絞る前の準備|生地を先端に集める
絞り袋に生地を入れたら、すぐに絞るのではなく、まず生地を先端に集める作業が必要です。この工程を省略すると、空気が入って絞りにくくなったり、模様が不均一になったりします。
コルヌ(カード)を使った生地の集め方
生地を集めるには、コルヌを使います。
❌ NG:コルヌの角を前(袋の先端方向)に向けて押す
- 角が袋に突き刺さり、穴が開く原因に
- 生地が漏れて作業が台無しになる
⭕ OK:コルヌの角を手前(自分側)に向けて使う
- 絞り袋を台の上に置く
- コルヌの角を手前に向け、平らな面を袋に当てる
- 引き寄せるように手を前方に動かしながら、生地を先端に集める
- 袋を破らずに、スムーズに生地を前に寄せることができる
お菓子作り初心者の方がよくやってしまうのが、コルヌの角を袋の方向に向けて「押す」動作。これだと角が袋に突き刺さって、簡単に破れてしまいます。
コルヌは「押す」のではなく、「引き寄せる」「撫でる」イメージで使いましょう。角の向きを変えるだけで、袋に負担をかけずにスムーズに生地を集められます。
きれいに絞るための基本手順
絞るときの姿勢と力のかけ方
お菓子作り初心者の方が失敗しやすいのが、この「姿勢」と「力加減」です。
ポイントは3つ:
- 天板に対して垂直に構える(基本の絞り方の場合)
- 力を強くかけすぎず、一定の力でゆっくり押し出す
- 絞り袋の上部を持ち、親指で押し出すイメージ
一定の力で絞ることで、模様が安定し、大きさも均一になります。
※模様や使用する口金によっては斜めに絞る場合もありますが、まずは基本の垂直な絞り方をマスターしましょう。
絞り終わりのきれいな離し方
形が崩れやすいのが、絞り終わりのタイミングです。
きれいに仕上げるコツ:
- 生地を出し切ったら、力を抜きながら持ち上げる
- クルッと手首をひねりながら離すと、先端がきれいに
- 一瞬で離すのではなく、ゆっくり離すのがポイント
この離し方一つで、仕上がりが大きく変わります。
実践編:絞り方アレンジ
基本の絞り方をマスターしたら、アレンジにも挑戦してみましょう。
ツリーの絞り方①:波型
三角形のツリーを作る、最も人気のある絞り方です。
絞り方の手順:
- 底辺から横にジグザグに絞る(下の段は幅広く)
- 一段ずつ上に重ねながら、徐々に幅を狭くしていく
- 最後に先端部分を小さく絞って完成
- 各段の幅を均等に狭くすることで、きれいな三角形になる
- 絞る圧力を一定に保つことが重要
ツリーの絞り方②:縦積み上げ型
縦に積み上げていくタイプのツリーです。立体感が出て華やかな印象に。
絞り方の手順:
- 下から縦方向に、少しずつ横にずらしながら絞る
- 底辺を広く、頂点に向かって徐々に狭くする
- 層を重ねるように絞ると立体的に仕上がる
- 底辺を広く、頂点に向かって徐々に狭くする
- 層を重ねるように絞ると立体的に仕上がる
リースの絞り方①
円形に絞るリースクッキー。テーブルを華やかに彩ります。
絞り方の手順:
- しずく形が連なって円形になるようにする
- 円が閉じるまで、一定の太さで絞り続ける
- 絞り終わりは、最初の位置に重ねるようにして離す
- あらかじめガイド線を敷くと配置しやすい
- 絞る速度を一定に保つと太さが揃う
- 口金サイズに合わせた円にするとバランスが良い
リースの絞り方②:星絞り
星絞りを円状につなげて作るリースです。
絞り方の手順:
- 円を描くイメージで星絞りを1つずつ配置
- 同じ間隔で時計回りにつなげていく
- 最後は最初の星と重ねる
- 星の大きさを揃えると仕上がりが美しい
- 力を一定に保つことが重要
渦巻き
絞り方の手順:
- 中心から外側に向かって渦を描く
- 「の」の字を描くイメージで絞る
- 好みの大きさで力を抜いて離す
初心者の方は、外側から中心に向かって絞る方が失敗しにくい
プロが実践するうまく絞るためのコツ
成功率がグンと上がるコツをご紹介します。
1.生地は作ったらすぐに絞る
絞り出しクッキーの生地は、作ったらすぐに絞るのが基本。時間が経つとバターの温度変化で絞りにくくなります。
2. 絞り袋の先端は少しだけ切る

お菓子作り初心者の方がよくやってしまう失敗が、絞り袋の先端を切りすぎること。
口金が絞り袋の先端から半分以上出ていると、硬いクッキー生地を絞っている間に口金が飛び出してしまいます。
正しい切り方:
口金の先端が1/3程度出るように切る
少しずつ切って、口金を差し込んで確認する
「足りないかな?」くらいで止めておくのがコツ
一度切りすぎると戻せないので、慎重に少しずつ切りましょう。
3. 絞り袋に生地を入れすぎない

生地は袋の半分程度まで。入れすぎると、力が入りにくくなり、手も疲れやすくなります。「少ないかな?」くらいがちょうど良いです。
4. 一度に全部絞ろうとしない
焦らず、数個ずつ絞って焼くのがおすすめ。特にお菓子作り初心者の方は、少量ずつ練習することで、感覚が掴みやすくなります。
5. 天板の準備はオーブンシートかシルパンで
オーブンシートを使う場合

シートがズレないように、四隅に生地を指で少量つけて、ノリ代わりにします。シートが固定されて、絞りやすくなります。
シルパン(シリコン製ベーキングマット)がおすすめ

クッキー作りには、シルパンの使用がおすすめです。
- 繰り返し使えて経済的
- 焼きムラが少なく、きれいに焼ける
- シートがズレる心配がない
- 底面がきれいに仕上がる
ABCオリジナルのシルパンも大変ご好評いただいております。お菓子作りを続けるなら、ぜひ揃えたい道具の一つです。

ABCオリジナル シルパン
シリコンコート加工のグラスファイバーがメッシュ状になったオーブン用マット
商品を見るよくある失敗とその対策
レッスンでよくある質問と、その解決法をまとめました。
Q1. 生地が硬くて絞れない / 柔らかくて模様が出ない
絞り出しクッキーで最も多いのが、生地の温度による失敗です。
生地が硬くて絞れない場合:
原因:バターの温度が下がって固まった(特に冬場)、または粉が多い
対策:
再度ゴムベラで混ぜて、バターを柔らかくする
少し暖かい場所に置いてから絞る
それでも硬い場合は、卵黄または牛乳を少量(小さじ1程度)追加
生地が柔らかくて模様が出ない場合:
原因:バターが溶けて柔らかくなりすぎた(特に夏場)
対策:
ボウルに入れたままラップをかけて、冷蔵庫で少し冷やす
冷やしすぎに注意し、様子を見ながら調整する
注意:絞り袋に入れたまま冷やすのはNG。口金部分が冷えて固まり、絞りにくくなります。
Q2. 模様がきれいに出ない
原因:口金の向き、力のムラ
対策:
- 基本の絞り方では、天板に対して垂直に構える
- 鏡を横に置いて、角度をチェックしながら練習
- 一定の力で絞ることを意識
Q3. 焼いたら形が崩れた
原因は複数あります:
①生地の水分が多すぎる
- 卵や牛乳などの水分と粉のバランスが崩れている
- 水分量が多いと生地が柔らかくなり、焼くと広がってしまう
- 生地の「まとまり」を見て、水分と粉のバランスを調整することが大切
②室温が高くて生地が柔らかくなっている
夏場や暖房の効いた部屋での作業
作業中に生地が温まり、バターが溶けてしまった
③オーブンの予熱不足
予熱が不十分だとバターだけが先に溶けて広がる
高温で一気に焼き固めることが重要
対策:
- 生地の水分が多い場合は、薄力粉を少量ずつ(小さじ1程度から)追加して調整
- 室温が高い日は、絞った後、天板ごと冷蔵庫で10〜15分冷やしてから焼く(生地を冷やして固めることで急激な広がりを防ぐ)
- オーブンの予熱をしっかり行う(予熱完了から5分ほど待つとより確実)
まとめ
お菓子作り初心者でもできる!まずは1回作ってみよう
絞りだしクッキーは、生地・道具・絞り方の3つを押さえることで、お菓子作り初心者の方でもきれいに仕上げることができます。
大切なのは、最初から完璧を目指さないこと。少しずつ感覚をつかんでいけば、必ず上達します。
「難しそう…」と思っていた方も、ぜひ一度挑戦してみてください。焼き立ての香ばしい香りと、自分で作った達成感は、きっと新しい楽しみになるはずです。
この記事を書いたのは
橋本慶子
東京製菓専門学校卒業後、代官山シェリュイ、アフタヌーンティー・ティールームなどで約10年ケーキ製造・販売業務に携わる。
2008年ABCクッキングスタジオ入社、2011年から商品部にてケーキ開発を担う。
5年間で約400メニューを開発する。
現在はフリーで活動中。

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