お食事パンとして、またお酒のお供として楽しめる「ベーコンエピ」。エピはフランス語で「麦の穂」を意味し、その特徴的な形状、パリッとした食感、そしてベーコンの旨味が魅力の人気パンです。今回は、パン作り初心者にもわかりやすく、基本から丁寧にベーコンエピの作り方をご紹介します。さらに、失敗しないコツやアレンジアイデアもお伝えしますので、ぜひご家庭でおいしいベーコンエピを楽しんでください!
1.ベーコンエピとは?
ベーコンエピは、外はカリッと中はふんわりした食感が楽しめるフランスパンの一種です。特徴的な「麦の穂」の形をしており、日本でも非常に人気の高いパンです。ベーコンの香ばしい風味が加わった焼き立てのエピは格別の美味しさです!
2.切り込みを入れるタイミング
ベーコンエピを作る際の大事なステップのひとつが「切り込みを入れるタイミング」です。このタイミング次第で、焼き上がりの見た目や食感が大きく変わるため、初心者から経験者までぜひ知っておきたいポイントです。切り込みは「二次発酵前」と「二次発酵後」のどちらで行うかによって、それぞれ異なる仕上がりになります。
▲左:二次発酵前に切り込み 右:二次発酵後に切り込み
二次発酵前に切り込み
生地がまだ発酵していないので、切り込みが入れやすく、焼き上がりはやさしい仕上がりになります。
二次発酵後に切り込み
生地が膨らみ、生地がつぶれやすくしぼみやすくなっています。そのため、はさみで生地を切るときには注意が必要です。焼き上がりは切り込みがはっきりした仕上がりになります。
二次発酵後に切り込みを入れる場合は、切り込みを入れるときにも常温でも少しずつ発酵は進むので、さらに短めに発酵時間をとりましょう。
3.エピの切り込みの入れ方
ここではエピ特有の形にする切り込みの入れ方を解説します。
はさみの持ち方
はさみを親指と残りの3〜4本の指で上からおさえるように持ちます。
切り込みの入れ方
はさみを親指と残りの3〜4本の指で上からおさえるように持ち、刃を開いて刃先が天板についた状態で斜め45度に傾けて切り込みを入れます。切り込みが入ったら左右どちらかにずらし、等間隔に同様の切り込みを入れ、交互に左右にずらして麦の穂のように整えます。
切り込みの深さ
はさみの刃先が天板につく位で切り込みを入れるので、生地がぎりぎりつながっている位の深さまで切るのがポイントです。
4.ベーコンエピの材料と必要な道具
材料(4個分)
準強力粉・インスタントドライイースト・はちみつ・塩・水・オリーブオイル・【成形用】ベーコン・【焼成用】打ち粉(準強力粉)
道具
はさみ・ボウル・スケッパー・木ベラ・計量スプーン・計量カップ・はかり・ガス抜きめん棒・布巾・ラップ・クッキングシート・茶こし・オーブン・ミトン
5.作り方
下準備
- 水は42〜43°Cに温めておく(仕込み水)。
- ベーコンは水気があれば除いておく。
- 発酵が終わるタイミングを見計らって、オーブンに予熱を入れておく。
①生地を作る
ボウルに準強力粉・インスタントドライイースト・はちみつ・塩を入れ、仕込み水を加え混ぜる。少し粉気が残る位でオリーブオイルを加え混ぜ、生地がまとまったら、台の上でなめらかになるまでこねる。
▼生地のこね方はこちら
②一次発酵

生地を丸めてとじめを下にしてボウルに入れ、ラップをかけて、1次発酵する(40°C 25~35分)。
③ガス抜き・分割・ベンチタイム
2倍位になったらガス抜きをし、4等分にして丸め直し、ぬれ布巾をかけて休ませる(10分位)。
分割や丸める工程は、この後の成形をやりやすくするためです。ここで生地をさわりすぎて乾燥させたり、傷めないように手早く行いましょう。
④成形
とじめを上にし、24×8cm位の横長の長方形にのばす。
めん棒を生地の中央から左右・手前奥へところがすようにあてて、厚みが均一になるようにのばすとよいでしょう。
生地は使用するベーコンの長さに合わせて調整しましょう。
生地の上にベーコンをのせ、手前から巻いてとじめをとじる。残りも同様に成形する。
ベーコンの脂ですべって巻きにくいので、巻く前にキッチンペーパーでしっかりと拭いておくとよいでしょう。
クッキングシートを敷いた天板に、とじめを下にしてのせる。はさみで6〜7ヶ所斜めに切り込みを入れながら(はさみが天板にあたる位斜めにするとよい)左右に振り分け、形をととのえる。
⑤二次発酵

キャンバス地+ぬれ布巾をかけ、発酵させる(40°Cで15〜20分)。
発酵させすぎるとふわふわとした食感になってしまいます。時間や温度に注意しましょう。
【二次発酵後に切り込みを入れる場合】
ひとまわり位大きくなったらキャンバス地+ぬれ布巾をはずし、打ち粉をふり、はさみで6〜7ヶ所斜めに切り込みを入れ、左右に振り分け、形をととのえる。
生地がやわらかく刃につきやすいため打ち粉をふると切り込みやすくなります。また、焼成すると表面の打ち粉が焼けて香ばしい仕上がりに。
打ち粉をふらない場合は、切り込みを入れる前にぬれ布巾をはずした後、そのままおき、表面が少し乾いたところで切り込みを入れると切り込みが入れやすくなります。ただし乾燥させすぎないように注意しましょう!
⑥焼成
生地の表面に霧を吹きかけ、オーブンで焼く(電気オーブン 230°C 12〜17分/ガスオーブン 210°C 12〜17分)。
6.よくある質問Q&A
Q.「生地がべたつく場合はどうすれば?」
A. 少量の打ち粉(強力粉または準強力粉)を使用するか、キャンバス地を生地にあてたり、キャンバス地の上で作業しても生地が扱いやすくなります。
Q.「発酵時間が長すぎるとどうなる?」
A. 生地中の気泡が大きくなり生地のグルテン組織が壊れてしまい、休ませても回復しない状態になり、焼き上がりも硬くなってしまいます。また、発酵により栄養や旨味も分解されるため、焼き色がつかない原因や、旨味のない食感も悪い生地になります。そのため、発酵時間が長くなりすぎないように早めに確認して適正な発酵状態で進めていくことが大切です。
Q.「エピの切り込みがうまくいかない」
A.
・はさみの状態の確認
はさみのかみ合わせが悪いとうまく生地を切れません。パンを切るのに適している「はさみ」を使用すると良いでしょう。
・はさみの持ち方
紙などを切る場合と異なり、パン生地を切るときは特有の持ち方があります。作り方や写真を参考に持ってみてください。ポイントは刃を大きく開いてから生地を切るようにすること。刃の開きが小さいと、生地をしっかりと深く切ることができません。何度か練習し、ご自身にあった角度や開き具合を探してしてみましょう!
7.ベーコンエピのアレンジアイデア
ベーコンエピはアレンジ次第で無限に楽しむことができます。具材や季節の食材を工夫するだけで、見た目も味わいも新鮮な一品に。季節感を取り入れたアレンジのアイデアをご紹介します。
- 手軽にベーコンと一緒にチーズや青じそなど巻く
- ソーセージを巻いて、切り込みを入れる
- 季節の食材をベーコンと巻いても◎ 季節の野菜を入れるときは、加熱処理してからベーコンと巻きましょう!
- 普段の食事で余った肉じゃがやカレーなども意外とおすすめ!カレーや肉じゃがは、水分を飛ばしてから成形することがポイント。チーズなどとの相性も良いですよ。
季節に合わせたアレンジ
- 春:菜の花やハーブなど
- 夏:オクラやパプリカなどを入れ、彩りも豊かに♪
- 秋:さつまいもを加熱し、角切りにしてナッツと一緒に
- 冬:れんこんなどの根菜を加熱し、角切りにして入れる
基本のベーコンエピの作り方で、オリジナルのエピを楽しんでいただけたらうれしいです。
まとめ
ベーコンエピは、初心者でもチャレンジしやすいパンです。カリっとした食感とベーコンの旨味が楽しめるこのパンは、朝食やランチ、お酒のお供などどんなシーンにもぴったりです。初めての方は、必要な材料がすべて計量済みのABCオリジナル手作りキットを利用すると、手軽にパン作りを始められます。ぜひ挑戦してみてください!
この記事を書いたのは
房前敦子
香川専門学校製菓科卒業後、アフタヌーンティー・ティールームに入社し約8年間、パン・ケーキ製造・販売業務などに携わる。その後、調理師免許を取得し、アフタヌーンティースクールのオープニングスタッフなどを経て、2008年から約12年間ABCクッキングスタジオの料理・ブレッド講師として就業する。
現在はABC Cooking MARKET手作りキットなどの新規メニュー開発をはじめ、専門学校や高校での講師、他メディアでのフードコーディネーターとしてフリーで活動中。
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